診療の特色：東北大学病院皮膚科

東北大学皮膚科診療の特色

各専門外来では、専門的知識を持って慢性・難治性の皮膚疾患治療に当たっています。こちらでは、そのうちの代表的なものを紹介します。各専門外来の詳細は、こちらのページから御覧下さい。

クリニカルカンファランス（症例検討会）

外来を受診した患者様のうち、診断や治療方針に関してひとりの医師だけで判断が困難である場合には、クリニカルカンファランスが随時開催されます。クリニカルカンファランスでは、皮膚科専門医をはじめとする複数の皮膚科医が診察し、診断や治療方針について相談します。患者様のなかには、複数の医師の診察を受けるのをためらうかたもいらっしゃると思います。しかしながら、病気が難しいものである場合、別の医師からセカンドオピニオン（第２の見解）、さらには、サードオピニオン（第３の見解）を聞くことは、診断を確実にして早く治癒させるためにとても大切なことです。クリニカルカンファランスは、複数の皮膚科医院や病院を巡って順番に診察を受けることを一度にやってしまう方法です。東北大学病院皮膚科のクリニカルカンファランスでは、複数の皮膚科専門医の意見を反映して、皆様に適したよりよい治療をおこなって、速やかにつらい病気をなおしたいと考えています。

皮膚悪性腫瘍の診断と治療

視診に加えダーモスコピーや皮膚超音波測定装置による観察、それぞれの皮膚悪性腫瘍に適した診断指針と治療指針を検討します。皮膚病理検査を行い、病理組織診断も随時行っています。

必要な場合はセンチネルリンパ節（みはりリンパ節）の生検を行って、的確に病期（病気の進行の度合い）を評価し、腫瘍の切除、病期によっては所属リンパ節郭清の手術をおこなったうえで、術後の化学療法も行っています。手術後、初期治療終了後には、主に腫瘍外来で、経過の観察を行っています。

宮城・東北地方から患者が集まる東北大学病院皮膚科では、年間約100ｰ150名の新規皮膚悪性腫瘍症例の治療を行っています。適切な治療を受けるためには早期診断が重要です。気になる皮膚症状は、まずは最寄りのかかりつけ皮膚科医に相談下さい。

乾癬の生物学的製剤療法・分子標的薬療法

乾癬の治療には①塗り薬による外用療法、②紫外線による光線療法、③乾癬の炎症を抑える飲み薬の内服療法と④乾癬で異常反応をしている特定の分子を抑える生物学的製剤（分子標的薬）療法があります。東北大学病院皮膚科では、症状の範囲が広くて、従来の治療で症状が改善しにくい患者さんを中心に、生物学的製剤療法を行っています。

＊生物学的製剤療法は、日本皮膚科学会の承認した施設で新規導入を行うことが推奨されています。生物学的製剤承認施設は、こちらのページで確認下さい。また、乾癬の新しい治療方法については、最寄りのかかりつけ皮膚科医にまずは御相談下さい。

脱毛症

正常状態の皮膚では定期的に毛が生え替わっています。脱毛症は異常な早さで毛が抜けるもしくは特定の範囲だけに毛が抜ける病気です。東北大学病院皮膚科では、急速に進行する広範囲の円形脱毛症や全身の脱毛症の方を対象としたパルス療法や感作療法を中心に治療を行っております。

小範囲の円形脱毛症に対しては、外用療法(塗り薬）の治療が効果的なことも多く見られます。まずは、最寄りのかかりつけ皮膚科医に御相談下さい。

なお、壮年性脱毛症 (加齢や男性ホルモンの影響による脱毛症) の治療は、東北大学病院皮膚科では行っておりません。壮年性脱毛症の方は、適宜最寄りの皮膚科医へ紹介しております。

白斑症

皮膚の色を決定する主たる色素をメラニン色素といいます。白斑症は、メラニン色素を作る細胞が減ってしまったり、異常を起こしたりすることによって十分なメラニン色素が行き渡らずに、特定範囲の皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。東北大学病院皮膚科では、急速に進行する広範囲の白斑症に対するパルス療法、メラニン色素を回復させるためのエキシマライト療法、メラニン色素細胞を移植するパンチグラフト療法とメッシュグラフト療法をで組み合わせながら、症状にあわせた治療を行っています。

小範囲の白斑症に対しては、外用療法(塗り薬）の治療が効果的なことも多く見られます。まずは、最寄りのかかりつけ皮膚科医に御相談下さい。