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皮膚科学の魅力を実感できる皮膚科医の養成を目指して

東北大学大学院医学系研究科皮膚科学講座  相場節也

1.皮膚科学の魅力 - その1

  常日頃、私は、皮膚科学の魅力はその多様性にあると考えている。皮膚科学の何が多様性かと言えば、まず、第一にその病気の多様性が挙げられる。手元に上野賢一先生の皮膚科学という教科書の第7版があるが、この索引に掲載さている病名を数えてみると約1000近い病名が記載されている。これでもすべてを網羅しているわけではなく、皮膚科専門医が知っていなければならない病気の数は軽く1200-1300に達する。その内のいずれかの病気を持っている患者さんが、外来に受診してくる。この様に多様、あるいは、多彩な疾患を対象にしているのが皮膚科学である。無数にある疾患群の中から、自分の知識と経験に基づいて的確な診断を下し、治療をおこなっていくのが皮膚科の醍醐味の一つである。

2.皮膚科学の魅力 - その2

  もう一つの魅力は、皮膚科治療法の多様性である。すなわち、皮膚科学には、皮膚疾患を診断し主に軟膏、内服薬、光線療法などで治療する一般皮膚科学(office dermatology)、比較的大きな病院で入院患者を中心に悪性腫瘍の切除、化学療法などの治療をおこなう皮膚外科学、皮膚腫瘍学(cutaneous surgery、cutaneous oncology)、レーザー、ケミカルピールなどの治療を行う美容皮膚科学(cosmetic dermatology)、皮膚疾患を病理組織学的に診断する皮膚病理学(dermatopathology)がある。このどの分野をとっても一人の医師が一生を捧げるのに不足のない診療分野である。

3.皮膚科学の魅力 - その3

  最後にあげるのは、皮膚科研究の多様性である。皮膚科は、表皮、毛嚢など常に増殖、分化を繰り返している組織を対象にしている。したがって、これらの細胞、組織を使って増殖、分化、細胞死、あるいは、発癌などの研究が可能である。一方、皮膚には、樹状細胞という免疫担当細胞が存在する。樹状細胞は、免疫の司令塔ともいえる細胞で、様々な免疫現象の重要な担い手である。したがって、皮膚科学研究においても、様々な免疫現象、免疫疾患が研究対象となる。また、最近では、医工学連携という名の下に、工学部と医学部との共同研究が積極的にすすめられているが、皮膚科学はその際にも工学研究のよきパートナーである。

4.東北大皮膚科が目指すもの

  現在の東北大皮膚科は、前任者の田上八朗教授以来、一般皮膚科学、皮膚外科学、皮膚腫瘍学、美容皮膚科学、皮膚病理学、研究皮膚科学の各分野を不足なく実践しているという自負をもっている。そこで、東北大皮膚科教室では、まず、可能な限りオールマイティーの皮膚科医を育て上げることを目標としている。このことにより、皮膚科学の魅力を十分に味わってもらうことが可能となる。病理組織を含めた皮膚科診療一般に精通し、基本的な手術ができ、レーザー治療を含めた美容皮膚科にも理解を示し、さらに、一度は基礎研究に汗を流したことがあるといった皮膚科医を育てたいと思っている。当然、専門医の早期習得も目標としている。そして、皮膚科学全般に一通り精通したところで、各自が自分の特性にあった専門分野に進んでいくように指導している。

5.東北大皮膚科の研究

  東北大皮膚科でも、私と藤村卓助教、大学院生が樹状細胞を中心テーマとして皮膚免疫、アレルギー、癌の免疫療法などの研究を行っている。山崎研志准教授は大学院生とともに皮膚自然免疫から表皮角層機能の研究とメラノサイトの基礎研究を行うと共に、酒さと疱疹性疾患の臨床研究を行っている。菊地克子講師は、角層の機能を科学的に解析する皮膚計測工学の研究を行っており、多くの化粧品メーカーと共同研究を行っている。一方、臨床研究では、水芦政人助教の脱毛症研究、渡部晶子助教の白斑研究、鈴木弘美医員の痒疹病態研究が行われている。医工学連携においても、テラヘルツ波を用いた皮膚診断装置の開発、ペルチェ素子を用いた皮膚凍結装置の開発などが現在進行中である。

6.東北大皮膚科の診療

  特殊外来として、腫瘍外来、脱毛外来、白斑外来、アトピー性皮膚炎外来、乾癬外来、美容外来、レーザー外来、痒疹外来を開設している。また、年間30例以上の悪性黒色腫症例、その他、扁平上皮癌、基底細胞癌などの皮膚悪性腫瘍の手術療法と化学療法なども行っている。また、皮膚病理組織標本は、院内、院外を含めて年間2000件近い症例を検討している。

7.東北大学皮膚科の関連病院

  仙台市立病院,仙台医療センター,仙台赤十字病院,東北労災病院,東北厚生年金病院,仙台社会保険病院,仙台徳洲会病院,NTT東北病院,仙台逓信病院,仙台JR病院,塩竃市立病院,坂総合病院,みやぎ県南中核病院,国保川崎病院、刈田綜合病院,大崎市民病院,涌谷町国保病院,石巻赤十字病院,石巻市立病院、女川町立病院,登米市立佐沼病院,栗原中央病院,気仙沼市立病院,山形県立中央病院、山形市立病院済生館,山形至誠堂病院,山形徳洲会病院,岩手県立胆沢病院,五戸総合病院,十和田市立中央病院,磐城共立病院,常磐病院, など。

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